今始まったことじゃないんですが一組一組は大声で話していないつもりでも、それが十組も二十組も集まれば騒音です。
自分達の話に夢中だから、そんなことには誰一人気付きません。
気にもしていません。
耳栓をしてじっと我慢をしていました。
隣の席に七十代の男性が座りました。
白髪に白い顎髭に白いソフト帽。
暫く目を閉じてからまた目を開けると私の隣から前の席に移っています。
そしてご老体は、先ほどから話に夢中だった二人の女性に日傘が肘に当たって痛くてしかたがなかったと注意をしました。
注意というよりも既に終わってしまったことに対して言っているのだか文句、苦言です。
だから席を移ったそうです。
突然のことに固まる女性達。
まさか、そんなことぐらいで文句を言われるとは思わなかったんでしょう。
彼女達だけが原因ではなくて車内があまりにも騒々しいのも、ご老体が腹を立てた原因の一つだったと思います。
「すみません…」
「そう言って、ちっともすみませんなんて思ってないんだよ。そういう女が子供を産むから…」
産むから日本はダメになったと言いたかったんでしょう。
アメリカならば名誉毀損で告訴されるんじゃないですか?
いや、アメリカのYouTubeで黙々とショットガンを自作している映像を見たことがありますのでショットガンで頭を吹き飛ばされるというのもアリかもしれません。
現代の日本でも頭が逝ってしまった青年なんかを注意しようものなら、たちまちタガーナイフで切り刻まれてしまいそうです。
でも、ここ東京は江戸時代には町民が武士から切り捨て御免!で無礼討ちにされないために「江戸思草(えどしぐさ)」という周囲に気配りをする動作が確立された社会です。
タガーナイフどころの騒ぎじゃありません。
町民が武士の刀の鞘にぶつかっただけで日本刀でバッサリと袈裟掛けです。
勿論、武士は無罪です。
「そういう女」以後が言い過ぎなのはともかくも、日本でもアメリカでも、現代でも江戸時代でも、他人の迷惑な行動を注意するだけでも命懸けですから、たいしたご老人だと思いました。
そうやって考えて行くと昔に比べて今が悪くなったのでも他と比べて東京という街が悪いのでもなくて、人類の存在そのものが人類にとって有害なのだと思いました。
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